太陽光発電 売電価格 10年後を調べる人の多くは、売電が10年で終わった後に単価がどれくらい下がるのか、そして2036年頃に向けて何を準備すべきかを知りたいはずです。
本記事ではFITと卒FITの違いを整理し、卒FIT後の相場感と、価格が読みにくい時代に損しにくくする選択肢を制度ベースで解説します。
10年後の売電価格が決まる仕組みを先に押さえる
FITの売電単価はいつ確定し、どこまで保証されるか
太陽光発電の「売電価格」は、まずFIT(固定価格買取制度)かどうかで意味が変わります。住宅用で多い10kW未満の太陽光は、FIT認定を受けた年度の条件に基づき、一定期間は国が定める単価で買い取られる仕組みです。過去の制度でも、10kW未満は調達期間が10年間として整理されています。
ここで重要なのは「価格は設置した年」ではなく、原則として「事業認定(認定年度)」で決まる点です。たとえば関西電力の公表情報では、10kW未満の買取単価として、認定時期により15.00円/kWh(上半期)などが示され、さらに2025年度下半期相当では、初期4年間は24.00円/kWh、5~10年は8.30円/kWhという段階設定も掲載されています。つまり、近年は“前半を厚く、後半を薄く”して初期回収を後押ししつつ、後半は市場水準に近づける考え方が見える形です。
また、事業用(10kW以上など)では区分や要件が変わり、一定規模以上はFIP中心に移る流れも明確です。売電価格の見通しを考えるときは、まず「自分の設備区分(10kW未満か、屋根か地上か、容量はどこか)」と「認定のタイミング」を先に確定させると、10年間の“制度で決まる部分”が整理できます。
まとめると、10年後の売電価格を考える第一歩は、FITで守られる期間と、そこでの単価の決まり方を把握することです。FITの10年が終わった後は、同じ「売電」でも別ルールになるため、次の見出しで卒FIT後を分けて考えます。
卒FIT後の売電価格はどう決まるか(固定・変動・特典型)
住宅用太陽光は、FITの買取期間(多くは10年)が終了すると、いわゆる「卒FIT」状態になります。卒FIT後も余剰電力を売ること自体は可能ですが、FITのように国が単価を保証するのではなく、電力会社や新電力など各社が提示する条件での契約になります。
卒FIT後の単価は、現時点では「6~10円程度」といったレンジで語られることが多く、地域や事業者で差が出ます。 具体例として、東京電力エリアの「再エネ買取標準プラン」は、買取単価が8.50円/kWh(税込)であることが明記されています。 さらに、比較サイトの整理では、8円台から10円台、条件によっては12円以上など、複数の事業者・プランが一覧化されています(蓄電池設置など条件付きで単価が上がる例もあります)。
また、卒FIT後の“お得”は単価だけで決まらない点も要注意です。たとえば支払い回数、ポイント還元や特典、電気契約とのセット条件、買取上限や季節で単価が変わるタイプなど、実質価値が変わる要素があります。卒FIT後は「どこが一律に高い」とは言いにくく、毎年の募集条件で差し替わるため、満了時点での比較が前提になります。
結論として、卒FIT後の売電価格は“制度で固定”ではなく“契約で決まる”世界です。10年後を考えるなら、いまの相場感(8~10円前後が多いが上振れもある)を踏まえつつ、満了時に選択肢が増減し得ることを前提に準備するのが現実的です。
2036年頃を見据えた売電価格の考え方と現実的な備え
10年後の価格を動かす要因(政策・市場・家庭側の価値)
「今から10年後(2036年頃)の売電価格」を一点で言い切るのは難しい一方で、動く方向性は材料から整理できます。第一に政策面では、再エネを電力市場へ統合していく流れがあり、2022年度から市場連動型のFIP制度が導入されています。FIPは、市場で売った価格に、基準価格と参照価格の差で決まるプレミアムが上乗せされ、参照価格は市場価格に連動して月ごとに見直される考え方です。
第二に制度設計の方向として、一定規模以上の太陽光はFITではなくFIPのみを認める範囲が拡大する方針が示されています。資料上は、2026年度は50kW以上を原則FIPのみとする旨などが整理されており、「固定で買い取る」よりも「市場と接続する」色合いが強まっています。 住宅用(10kW未満)は直ちにFIPという話ではありませんが、卒FIT後の買取単価が“市場や小売の事情”を反映しやすくなる、という見立てにはつながります。
第三に家庭側の価値です。国の検討資料では、自家消費分の便益として27.31円/kWhが置かれ、調達期間終了後の売電価格を10.0円/kWhとして扱う整理も見られます。 ここから読み取れるのは、少なくとも制度設計上は「売るより家で使う価値のほうが大きい」前提が強いことです。したがって2036年頃の卒FIT後単価は、いまより大きく上がるよりも、(卸市場や小売の買取余力に応じて)低位で推移するシナリオも十分あり得ます。一方で、需給が逼迫する局面や、セット条件・サービス設計次第で、一定の上振れを狙える余地も残ります。
まとめると、10年後の売電価格は「政策の市場統合」「市場価格の影響」「自家消費価値の大きさ」という3点でレンジ化して考えるのが安全です。単価の予測よりも、価格が振れたときに家計側が有利に動ける設計が鍵になります。
10年後に困らないための選択肢(売電先見直しと自家消費強化)
卒FIT後の現実的な対策は、大きく「売電先の見直し」と「自家消費の強化」に分かれます。まず売電先は、満了後に自動で従来の電力会社プランへ移行するケースもあるため、単価・支払い条件・セット条件を確認したうえで、比較して切り替えるのが基本動作になります。
東京電力の例では、FIT満了後に非FITの買取プランへ移行する旨が説明され、単価も明示されています。 比較情報では、単価が高いプランや条件付きで上がるプランも整理されているため、満了前に候補を絞ることができます。
次に自家消費の強化です。売電単価が下がる局面では、余剰を売るより、家庭内で使って購入電力量を減らすほうが合理的になりやすい、という整理が各所で述べられています。余剰電力の活用策としては、蓄電池で夜間に回す、給湯(エコキュート等)で昼間に沸き上げて夜に使う、将来的にはEV充電と組み合わせる、といった手段が代表例です。
重要なのは「単価の高低」だけで判断せず、家庭の電力使用パターンに合わせることです。昼間不在が多いなら蓄電や給湯シフトの効果が出やすく、在宅時間が長いならタイマー運転や家電の昼寄せだけでも自家消費率は上げられます。売電を続ける場合も、支払い頻度や特典などを含めて実質で比較し、毎年の条件変更にも備えて情報更新できる状態を作るのが有効です。
結論として、10年後の売電価格を当てに行くより、「売電しても自家消費しても損しにくい」運用に寄せることが、2036年頃の不確実性に対する最も強い備えになります。

