太陽光発電の売電価格は、FIT制度の「認定年度」や設備区分(10kW未満/10kW以上、屋根設置/地上設置など)で大きく変わります。さらに近年は、屋根設置向けの初期投資支援スキームや、一定規模以上でFIPが原則となる扱いもあり、単純に円/kWhだけを見て判断すると誤解が生まれやすい状況です。
この記事では、太陽光発電 売電価格 FITの最新情報を軸に、制度の読み方と比較ポイントを整理します。
FITの売電価格を正しく読む基礎
FITとFIPの違いと売電価格の見方
太陽光発電の「売電価格」を調べると、FIT・FIP・卒FITなど似た言葉が並びます。まず重要なのは、FITは固定価格で買い取られる制度、FIPは市場価格にプレミアム(上乗せ)を受け取る制度という違いです。FIPでは参照価格(市場取引などで期待される収入)に連動してプレミアムが見直されるため、収入が固定になりません。
次に、太陽光の売電は「発電した電気をすべて売る」ではなく、家庭用では自家消費して余った分を売る(余剰売電)が基本です。10kW未満の設備は、家庭内で使い、余った電気を電力会社へ売る形になります。
また、売電価格は「その年に設置したら一律」ではなく、認定を受けた年度の価格が原則として適用されます。つまり、いつ認定されるかが単価に直結し、同じパネルでも条件次第で収入が変わります。制度を読むときは、①設備区分(容量・屋根/地上)②制度(FIT/FIP)③期間(10年/20年など)④認定年度、の順で整理すると混乱しにくくなります。
まとめると、検索で出てくる円/kWhは「どの制度・どの区分の数字か」をセットで確認する必要があります。とくに2026年度は区分ごとの差が大きいため、最初に前提条件を固定してから比較するのが安全です。
調達価格の決まり方と注意すべき制度ルール
FITの売電価格(調達価格)やFIPの基準価格は、毎年度、コストなどを基礎に中立的な委員会の意見を踏まえ、経済産業大臣が決定します。単価は市場の人気で決まるのではなく、制度上の算定ロジックに基づく点が特徴です。
実務で見落としやすい注意点が2つあります。1つ目は発電側課金相当額です。2024年度以降の新規認定案件で、最大受電電力が10kW以上の場合、調達価格・基準価格に追加的に発電側課金相当額を加えた額とする扱いがあります。表にある円/kWhをそのまま契約額と誤解しないよう、契約・請求の内訳まで確認が必要です。
2つ目は税の扱いです。2024年度以降、調達価格の消費税の扱いが「認定事業者が課税事業者か免税事業者か」で整理されており、区分によって見え方が変わります。公表資料の単価と、自分の立場での受取単価が一致するかを事前に確認しておくと、収支計画がずれにくくなります。
さらに、区分によってはFITではなくFIPが原則になる範囲が設定されます。たとえば2026年度は、一定規模以上でFIPのみが認められる扱いが明記されています。どの規模までFITでいけるかは、設備計画に直結する論点です。
まとめとして、調達価格は「公表単価」だけでは完結しません。発電側課金相当額や税の扱い、さらにFIT/FIPの適用範囲を合わせて確認することで、売電収入の見積もり精度が上がります。
2026年度の売電価格と卒FIT後の現実
2026年度の太陽光発電 売電価格 FITを区分別に整理
2026年度(令和8年度)の太陽光発電の売電価格は、区分によって「固定単価」だけでなく、運転開始後の年数で単価が変わる階段型が含まれます。とくに屋根設置は、早期の投資回収を狙う初期投資支援スキームの考え方が反映されています。
主な区分は次のとおりです(公表資料ベース)。
- 住宅用(10kW未満):24円/kWh(~4年)、8.3円/kWh(5~10年)で、調達期間は10年
- 事業用(屋根設置・10kW以上):19円/kWh(~5年)、8.3円/kWh(6~20年)で、調達期間は20年
- 地上設置(10kW以上50kW未満・入札対象範囲外):9.9円/kWh(調達価格/基準価格として整理)
- 地上設置(50kW以上・入札対象範囲外):8.6円/kWh(同上)
加えて、2026年度は一定規模以上でFIPのみが認められる扱いが示されています。つまり「この区分はFITで固定単価」という前提が崩れるケースがあるため、設備規模を決める段階でFIT/FIPの適用を先に確認するのが実務的です。
申請時期も重要です。2026年度の単価が、2025年度下半期の認定にも適用される旨が示され、期限日も資料で案内されています。たとえば住宅用(10kW未満)は2026年1月6日が期限日として整理されています。
まとめると、2026年度は「区分」「屋根/地上」「運転開始後年数」「申請期限」の4点セットで読み解くのがポイントです。単価だけを抜き出して比較すると、条件違いで結論が変わりやすくなります。
卒FIT後の売電価格の相場と選択肢
FIT期間が終わると、固定単価での買取は終了し、いわゆる卒FITの状態になります。卒FIT後の買取価格は制度で固定されず、電力会社や新電力のプランごとに設定されるため、同じエリアでも選択肢によって単価が変わります。
相場観としては、各社の買取サービスの例を見ると、8円台~10円台の提示が多く、条件付きでそれ以上の水準が見られることもあります(電気契約のセット、ポイント還元、蓄電池セットなど)。一方で、プランには対象エリアや契約条件があり、単価だけで横並び比較しにくい点に注意が必要です。
卒FIT後の選択肢は、大きく3つに整理できます。
- 買取先を見直す:同エリア内でも買取サービスが複数あるため、単価・条件・手続き負担を比較します。
- 自家消費を増やす:昼間に使う量を増やせば、買電の削減効果が得られます。家庭用では生活時間帯の調整や、給湯・空調の運転最適化が検討対象になります。
- 蓄電池などで運用を変える:余剰を貯めて夜間に使う方向へ寄せると、売電依存を下げられます(投資判断は別途、機器費・寿命・保証の確認が必要です)。
まとめとして、卒FIT後は「いくらで売れるか」よりも、「売る・使う・貯める」の組み合わせで総メリットを作る発想が現実的です。まずは買取プランの条件確認と、年間の余剰電力量の把握から始めると判断が早くなります。

