太陽光発電の売電価格は、年度ごとの価格表で決まる部分と、制度区分や設置条件で変わる部分があります。太陽光発電 売電価格 推移を追うと、導入初期の高単価から段階的に低下してきた流れに加えて、2026年度のように期間内で単価が二段階になる設計も見えてきます。
本記事では、FITとFIPの違いを整理した上で、住宅用と事業用に分けて推移を読み解きます。
太陽光発電の売電価格の仕組みと見方
FITとFIPで売電価格が決まる流れ
太陽光発電の売電価格を調べるときは、まずその数字が何を指すのかを揃える必要があります。一般に売電価格と言われるものは、固定価格買取制度で電力を買い取る単価を指すことが多い一方、FIPや卒FITでは考え方が変わります。制度が違うと、同じ年でも見え方が大きく変わるため、ここを整理しておくと推移の理解が早くなります。
FITでは、国が定めた調達価格で電力会社等が買い取る仕組みです。調達価格や調達期間は、コストを基礎に価格目標や適正利潤などを勘案して定められ、中立的な調達価格等算定委員会の意見を尊重して経済産業大臣が決定するとされています。つまり、単なる市場価格ではなく、制度設計上の価格だと捉えるのが基本です。
一方FIPでは、売電は市場に連動し、国が定める基準価格をもとにプレミアムが交付される形になります。さらに入札対象の区分では、上限価格という考え方も登場します。資源エネルギー庁の整理でも、FITは調達価格、FIPは基準価格、入札制度適用区分は上限価格という区別が示されています。推移を見る際は、どの制度区分の数字なのかを揃えることが欠かせません。
また、同じ年度でも、過去に認定を受けた案件は当時の単価が一定期間続くため、新規の単価と、実際に支払われた平均単価は一致しません。例えば、10kW未満のFIT買取に関して、年別の買取電力量と買取金額から算出した平均単価が公表されており、2012年から2024年にかけて平均単価が段階的に低下していることが分かります。ただしこれは新規認定の単価そのものではなく、稼働中案件の構成を反映した平均値です。
まとめると、売電価格の推移を正しく追うには、1つ目にFITかFIPか、2つ目に新規の単価か平均単価か、3つ目に容量区分や入札対象かを切り分けて読む必要があります。この前提を押さえた上で、次に価格が変わる条件を見ていきます。
容量区分と条件で価格が変わるポイント
太陽光の売電価格は、年度だけで一律に決まるわけではありません。代表的なのは、10kW未満と10kW以上で枠が分かれることです。10kW未満は主に住宅用の余剰買取を想定し、表でも調達期間が10年間として示されています。10kW以上は事業用の区分が中心となり、調達期間や制度の扱いが異なります。
さらに、同じ10kW未満でも条件で価格が分かれる時期がありました。例えば2016年度は、出力制御対応機器の設置義務の有無やダブル発電かどうかで調達価格が分かれて表記されています。2018年度も同様に、出力制御対応機器の設置義務の有無で価格が異なる形で示されています。過去の推移をまとめるときは、自分の地域や設備条件に近い列を参照するのが安全です。
10kW以上の事業用でも区分が細かく、地上設置か屋根設置か、入札対象か対象外かで単価の考え方が変わります。特に近年は、FITとFIP、入札の対象範囲のイメージが整理されており、年度によって適用範囲が変化していることが示されています。推移を読む際は、単価の上下だけでなく、対象範囲が動いている点も併せて見ると誤解が減ります。
加えて2024年度以降は、調達価格の扱いに関する注意書きも増えています。消費税の扱いが従来と異なることや、最大受電電力が10kW以上の場合に発電側課金相当額を加えた額とする旨など、読み方に影響する注記が明記されています。年度比較をするときは、数字の前提条件も同時に確認しておくと安心です。
ここまでのポイントを踏まえると、売電価格推移は、単に年表を並べるだけでは不十分だと分かります。自分が該当する容量と条件を先に特定し、その区分で年度ごとの数字を追うのが基本です。次章では、まず住宅用10kW未満の推移を、制度表の数字として整理します。
太陽光発電 売電価格 推移を年代別に理解する
住宅用10kW未満の売電価格推移2012から2026
住宅用を中心とする10kW未満の売電価格は、制度開始当初から段階的に下がってきました。ここでは、資源エネルギー庁の価格表にある10kW未満の調達価格を軸に、代表的な列として読みやすい形で推移を整理します。なお年度によっては出力制御対応機器の設置義務などで列が分かれるため、ここでは主に余剰買取の基本的な価格を押さえる目的で見ていきます。
まず制度初期は高単価でした。2012年度は10kW未満が42円、2013年度は38円、2014年度は37円と示されています。導入初期に高い単価を設定し、普及とコスト低減を進める設計だったことが読み取れます。
その後も低下が続きます。2015年度は10kW未満が33円、2016年度は31円、2017年度は28円、2018年度は26円といった形で、毎年のように下がっています。特に2016年度以降は、出力制御対応機器の設置義務の有無など条件差も見られるため、単価の数字だけでなく注記も合わせて確認するのが実務的です。
2019年度以降は下げ幅が一段と見えやすくなります。2019年度は24円、2020年度は21円、2021年度は19円、2022年度は17円と示され、2023年度と2024年度は16円が基準となっています。ここまでで、2012年度の42円から、2024年度の16円へと大きく低下した流れが確認できます。
2025年度以降は、さらに読み方が重要になります。資料では2025年度のFIT調達価格が15円とされ、2026年度は初期投資支援の形として、最初の4年間が24円、5年目から10年目が8.3円という二段階の単価が示されています。平均的な印象だけで比較すると誤解しやすいので、2026年度は前半の回収を厚くし、後半を薄くする設計だと理解すると整理しやすくなります。
ここで、実際の家計影響を考えるなら、単価の推移だけでなく自家消費との関係も欠かせません。資料では自家消費分の便益や余剰売電比率などの前提も併記されており、売電単価が下がるほど、使って得する価値の比重が上がりやすいことが示唆されます。推移を目的に見る場合でも、結論としては売電一本で採算を組む時代から、自家消費を含めて設計する時代へ移ったと捉えるのが自然です。
まとめると、10kW未満の売電価格推移は、2012年度の42円から2024年度の16円、2025年度の15円へと下がり、2026年度は24円と8.3円の二段階に移行する形です。比較するときは、自分が認定を受ける年度の単価が一定期間続く点と、2026年度のように期間内で単価が変わる設計がある点をセットで押さえておくと、情報の取り違えを防げます。
事業用10kW以上の売電価格推移と近年の制度変更
事業用の売電価格推移は、住宅用以上に区分が複雑ですが、大枠の流れとしては大幅な低下が続いています。ここでは、制度開始当初からの代表的な単価の変化と、2025年度から2026年度にかけての制度上の扱いを中心に整理します。
初期の水準は非常に高く、2012年度の10kW以上は40円に消費税を加える形、2013年度は36円に消費税を加える形、2014年度は32円に消費税を加える形と示されています。ここから設備コスト低下や制度見直しに合わせて、段階的に単価が引き下げられていきます。
中盤以降の目安を見ると、2016年度は10kW以上が24円に消費税を加える形、2017年度は21円に消費税を加える形、2018年度は18円に消費税を加える形、2019年度は14円に消費税を加える形と示されています。2015年度は時期によって価格が分かれているなど、移行期の扱いも見られます。推移をまとめる際は、年度の表記と注記を必ずセットで確認するのが確実です。
2020年度以降は、さらに低い水準が続きます。2020年度は10kW以上の区分で13円や12円に消費税を加える形の表記があり、2021年度は10kW以上50kW未満が12円に消費税を加える形です。2022年度は10kW以上の区分で10円や11円といった水準が示されています。ここまでで、導入初期と比べて事業用の単価が大きく下がったことが分かります。
直近の制度変更として重要なのが、2025年度から2026年度の価格表です。資料では、10kW以上入札対象範囲外の区分として、2026年度の地上設置10kW以上50kW未満が9.9円、地上設置50kW以上入札対象範囲外が8.6円と示されています。また屋根設置10kW以上は、19円を最初の5年、8.3円を6年目から20年目とする二段階の単価が示されており、用途や設置形態で設計が分かれていることが読み取れます。
加えて、FITとFIP、入札の対象範囲が年度で変わる点も推移の読み解きに直結します。資料にはFIT FIP 入札の対象イメージが示され、2026年度の適用範囲が整理されています。売電価格が下がったという結論だけでなく、どの範囲がFIP側へ寄っているかまで含めて見ると、将来の運用の方向性も掴みやすくなります。
まとめると、事業用10kW以上の売電価格推移は、2012年度の40円に消費税を加える水準から、近年は10円前後の水準へ大きく低下し、2026年度は設置形態によって二段階単価や対象範囲の整理が進んでいます。自分の案件がどの区分に入るかを先に確定し、その区分の単価と条件で比較することが、推移を正確に理解する近道です。

